岸本耕作さんと坪田信義さん
- bbbshop-eleven
- 11月13日
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私が、ミズノさんでお世話になっていた時のプロ野球のスター選手と言えば
松井秀喜選手、イチロー選手、松坂大輔投手、上原浩治投手、大魔神佐々木投手、古田敦也選手、新庄剛志選手、などなど数多いらっしゃいました
ミズノ用具を使用する選手お二人、イチロー選手と松井秀喜選手がMLBへ挑戦する時期、そんな時期でした。ミズノが世界に誇るグラブ職人坪田信義さんが定年を迎えられ、ミズノのグラブ職人もちょうど世代交代の時期、松井さんのグラブデザインは松井さんのジャイアンツ時代のニックネームでもある『ゴジラ』をモチーフとしたウェッブを採用したグラブ、こちらはすんなりと決まりました
対するイチロー選手のグラブ、確かイチロー選手のグラブの要望を直接お伺いするために坪田さんはアメリカまで行ってイチロー選手に現地で色々要望を聞いてメジャー仕様のグラブを作成された記憶があります。
天然芝は芝の刈り方でバウンドが変わるため、日本で使用してたものよりもポケットが大きいものに仕様変更を要望、岸本さんがイチロー選手のグラブを作ることになった時もその要望は引き継がれ、ポケット部分の丸みを損なわないようにソフトボール大のボールをグラブに挟んでイチロー選手へお届けしてました
さて、坪田信義さんと岸本耕作さん、お二人のグラブ職人が作るグラブに接して感じた当時の感想は職人としてのグラブへのこだわりが全く違うということ
坪田さんは選手の要望を形にすることにこだわった職人、坪田さんが一躍有名になったのは30年ほど前に、両投げ用のグラブを選手から要望を聞いて作成されたのがきっかけだったように思います。プロ選手のグラブ作成に多数関わる職人でしたが、坪田さんの名前を聞いたのはそのテレビ番組からだったように記憶しております。
選手の要望を聞いて、その選手の求めているものを形にして使ってもらう、そこに自分の形というものを入れてはいけない
こだわらないことにこだわりを持ったグラブ職人、それが坪田信義さんという方だと思ってました。
一方、岸本耕作さんは『グラブとはこうあるべき』というこだわりをお持ちの職人さん
公式戦の全日程が終了し、メーカーは来年に向けグラブやバットの仕様をより使いやすくすべく、プロ選手の意見を聞くためにプロ担当は秋季キャンプを回ります。
プロ選手から頂いた要望を岸本さんらグラブ職人さんへお伝えし、要望を形にしたグラブを作って頂くことになるのですが、これが中々難しかった記憶があります
当時、クボタスラッガーの二度目のブームが来ていた時期で松井稼頭央さんや中村紀洋さん、奈良原浩さんなど、上手いと言われる守備の名手がスラッガーグラブを使用
そしてスラッガーと言えば湯もみ型付けと、当てどりという鍋つかみみたいな形状のグラブで握り替えを素早くすることをよしとされた時代
芯材を活かし、ボールをしっかりと掴める形状がグラブにとって大事というこだわりがあり、その考えに逆行する平べったい形、ましてグラブをすぐ使えるようにするためにお湯につけてバンバン叩くなんてものを職人として認めるわけにはいかなかった。
当時の流行りに合わせたものを要望する現場と、グラブにこだわりのある岸本さんとでグラブに対する考え方が全然違っていて中々大変な時期があったように記憶してます
こだわらないことをこだわりとした坪田信義さん
こだわりにこだわりぬいた岸本耕作さん
全く異なるグラブ職人お二人を間近で見られたのは今思えばラッキーでした






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